フィギュアスケートのチーム戦「ジャパンオープン」が6日、さいたまスーパーアリーナで開催され、高橋大輔(関大大学院)、小塚崇彦(トヨタ自動車)、浅田真央(中京大)、鈴木明子(邦和スポーツランド)の4人で出場した日本チームが合計569.25点で2年ぶり5回目の優勝を飾った。
今大会は日本、北米、欧州の3地域による対抗戦で、各チーム男子2人、女子2人で構成。それぞれがフリースケーティングを演技し、その合計点で順位が決まる。2位には511.80点でパトリック・チャン(カナダ)らの北米チームが入り、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)らの欧州チームが510.52点で3位となった。
浅田「手拍子がすごく後押しになった」
「初戦だったので、練習ではできていても本番でどうなるかなという、ちょっとした不安はありました。でも、しっかり落ち着いて、やってきたことを出せたと思います。このジャパンオープンをスタートにして、2歩でも3歩でもステップアップできるように、これから頑張りたいと思います。
衣装は、ロシアに振り付けに行ったときに、タチアナ(・タラソワ)先生が用意したデザインが何個かある中で自分でこれが良いと選びました。
トリプルアクセルについては、今シーズンは練習の量を今までの半分以下に抑えていました。こっち(会場)にきてから1回すごくきれいに跳べたので、今シーズンはどうしようかなと考えていたんですけど、(シーズン)後半の方には入れていけたらいいなと思っています。
(今日は)最後にお客さんが手拍子をしてくださって、それがすごく聞こえました。ちょっと疲れていた中でも、それがすごく後押しになったと思います。
とりあえずこの試合は自分が今までシーズンオフからやってきた滑り込みを出せればいいかなと思っていましたが、最後まで滑りきることができたので、これをスタートとしてGPシリーズからまたレベルアップできるように頑張りたいと思います。
コレオグラフィックシークエンスは、最初に作ったときに入れていなくて、もう1度(ロシアに)行ったときに作り直しました。なので、曲と合わなかったり、試行錯誤はしたんですが、曲と振り付けが合っていると思うので、最後の盛り上がるところでリンクの端から端までを目いっぱい使って、最後の見せ場で力強く滑れたらいいなと思います」
高橋「シーズン初めとしては、なかなか悪くない」
「いつもジャパンオープンの時はあまり良くないことが多く、今季はプログラムを作ったのが遅かったのですが、シーズン初めとしてはなかなか悪くないと思います。4回転も2本中1本成功できたので、調子を落とさずにどんどん上げていけるようにやっていけば、いいシーズンを送れるんじゃないかなと思っています。でも、気を引き締めてやっていきたいです。衣装はロシアでお任せという感じで作りました。久々にロシアの衣装を着て滑っています。
けがをしてから(戻るのに)3年(かかる)、とは聞いていたのですが、感覚のすり合わせがすごくスムーズにでき始めたのが先シーズンの終わりごろでした。ロシアでの練習もすごく良い練習ができましたし、その前の北海道での合宿でも追い込むことができて、基礎体力が仕上がった上でシーズンインを迎えられたので、それが大きいと思います。細かい部分はこれから練っていければと思いますが、とりあえずスタートとしてすごく良かったのは、基礎体力(づくり)がオフの間にできたことかなと思います。
(今日の演技は)スタンディングオベーションをしてくださった方もいたので、悪くはないんだなと感じました。ただ、自分が演技をしている途中でどういう反応をもらっているのか(を見るの)は、今回そこまでの余裕がなく、今日の時点ではどういう評価かなというのは、はっきり分からないです。でも、試合で自分がこのプログラムを滑っている感覚は、今までけがをしてから何年かありましたけど、シーズンの初戦にしてはすごく良い感じだったので、これからどんどん気持ちの方も入ってきて、良くなっていくんじゃないかと思います。終わってみていろんな方に意見を聞いて、改善していかないといけないところはしていきたいと思います。
4回転2本については今日は成功できませんでしたが、練習を通して4回転の確率は徐々に上がってきていると思います。1本(決める)ということに不安がある中で決めたというのは、それだけ自分が成長しているんだと思います。これから順調に試合をやっていけば良くなっていくと思います。
新たなコレオグラフィックシークエンスについては、最後の盛り上がるところに入っていて、エッジワークを長く大きくというステップになっています。そこをきっちり見せようということと、スケールのでかい曲だと思うので、ディープで長いエッジワークだったり、自分の感情の大きさだったりを表現できればいいなと思っています。
(ニコライ・)モロゾフコーチからは、シーズン最初の演技にしては良かったとだけ言われました。このあとアメリカで合宿するので、その時にまたいろいろ注意されるんじゃないかなと思います」
小塚「良い方向に進んでいる」
「今日滑ってみて、良い方向に進んでいると感じました。このまましっかり練習をしていきたいです。去年はあまりいいシーズンではなかったので、評価の方が下がり気味だったのを持ち直したという感じです。点数を見てまあしょうがないかなと思うのですが、これから練習して、毎試合今回のような演技ができればいいなと思います。
衣装は、毎年同じ、ジェフ・ビリングズさんに作ってもらっています。音楽を渡してビリングズさんの完成で作ってもらっています。今回はミリタリーチックというか、そういう系統のコンセプトで作ったと聞いています」
鈴木「必死になってやっていた」
「ここに来る前に少し調子が落ちてしまっていたのを、なんとかギリギリ間に合うかなという形に持ってこられてはいました。でも、やはり試合はそんなに甘くありませんでした。ジャンプが後半うまく入らなかったんですが、ここからまたシーズンを通してこのプログラムで成長していけるように頑張っていきたいと思います。反省をして、また次に進みたいと思います。
今回(のプログラム)は『オー』という水のショーです。衣装は振付師のパスカーレ(・カメレンゴ)さんから、青を基調として、孔雀のようなグリーンとブルーで作ってほしいというアイディアがあったので、それをもとに日本でいつも作ってくださる方とコーチたちと考えて作りました。
今日は後半が特に崩れてしまって、必死になってやっていたので、お客さんの反応を見ることができませんでした。実は、後半に入る前のスピンから出るところで逆方向にいってしまって……初めてこういうことを試合でやってしまったのですが、そこからジャンプを跳ぶ位置が全部逆になって、焦って最後に戻すということをしていました。プログラムというより、とにかく『やらなきゃやらなきゃ』、という焦りにつながってうまく滑れませんでした。こういうことが試合でも起こりうるんだなと感じましたし、今後こういうことがあっても動揺しない強い気持ちを持ちたいです。でも、良い経験になりました。
コレオグラフィックシークエンスは、今までは手拍子でステップを踏むことが多かったんですけど、今回はルール変更もあって、曲の感じとスタイルが合うようにと、パスカーレ先生にも言われています。とにかくスピードを出してリンクをいっぱいに使って、飛び跳ねるような、鳥が羽ばたいていくようなイメージで滑るようにと言われています。最後はいつも「スピード!」と怒鳴られているので、そこは意識してやっていますが、自由に滑るというのは気持ちいいです」
<スポーツナビ2012年10月6日>
チャン「今日の滑りにはがっかり」
「率直に言って、今日の滑りにはがっかりしています。練習の時はずっと調子が上がってきていて、去年のジャパンオープンよりも良い状態で来られたと思っていました。プログラムも演じきれたし、モチベーションも上がっていて準備はできていたのですが、今日氷の上に立ってみたらちょっと違う、(氷への)乗りが悪いと感じていました。実際、自分の思い通りに滑ることができませんでした。 こういう経験は必要だと思うので、これが今日で良かったと思います。(高橋)大輔が良い演技をしましたが、それだけの滑りをしたと思いますし、一番良い得点を出したのはうれしく思います。
コーチが変わりましたが、振付担当も5年間やっていたローリー・ニコルからデビッド・ウィルソンに変わって、なかなかなじまなくて苦戦をしていた部分もあります。5年間も同じ振付師でやってたので、そこで急に変わるのはリズムも違いますし、心地の良い滑りを変えていかないといけなかったので、結果的にはそういった不安定要素がすべて噴出した形が今日の滑りになったかなと思います。 自分は変化を容易に受け入れられる性格ではないので、今日起きたことをいろんな人に相談したりジャッジに聞いたりして、進めていきたいです。
違和感というか納得しきれていない部分もありますが、コーチを変えたのも本当に良かったと思っています。キャシー(・ジョンソン)の練習の仕方はモチベーションを上げてくれて、自分の気持ちを分かってくれています。さまざまな変化がありましたが、それに対応しきれなったところが今日の演技に出てしまったというのは認めざるを得ませんが、とにかく今日で良かったです。これから立て直して、良い滑りができるようにしたいと思います。
今季のプログラムは「ラ・ボエーム」で、選曲には大変時間をかけました。これは典型的なオペラで、劇的で悲しい曲になっています。今年は去年とまったく違うスタイルに挑戦したいということでこの選曲になりました。自分らしいけど新しいものに挑戦したくて、リスクを取ろうと思いました。内容にぴったりの振り付けにはなっていると思います。
今季のゴールは、今日のような滑りではありません。4回転トゥループを2本入れて完成させていきたいと思います。モスクワの世界選手権(2011年)で優勝した時がベストの4回転だと思っているのですが、あの4回転はまだ実現できていません。もちろん、その結果として世界選手権で再び優勝することが目標ですが、そのためにはGPシリーズでいい結果を出していかないといけないと思います。
今日の出来事は道路にある大きな障害物のようなものです。ただ、これから先のシーズンを楽しみにしているし、今日、その壁にぶつかって転んでしまったことによって、自分が目を覚ますことができたと思っていますし、モチベーションが湧いたので良かったです」
<スポーツナビ 2012年10月6日>
プルシェンコ、今季初競技に「息が上がってしまった」
「今日はまずは2回4回転ができたことがうれしいです。2005年の大会以来、2回4回転トゥループを決めるということができていなかったので、その点では満足しています。パフォーマンスについてはフィフティー・フィフティーです。まだまだ早い段階ですし、今季初めての競技なので、今日は滑って息も上がってしまって、足の感覚もないような状態でしたが、2回の4回転にチャレンジできたのは良かったです。
しっかり4回転を決めるのが目標で、今日は試合ではありましたが、最終目標に向けての練習の場でもありました。今日のように試合でも練習を積めるということに関して満足をしています。今後はますます練習をして、どんどん良い演技をしたいと思います。
今季のプログラムはサン=サーンス・メドレーです。もちろんまだ仕上がっている状況ではありません。セルゲイ・ペチュホフが振付担当で、彼とは8年前にも一緒にやったことがあります。今日はスケーティングをうまい形で見せたいなと思ったのですが、まだあまりスケーティングの面では良くありませんでした。ただ、できるだけ早く今日よりもずっといい滑りに持っていきたいと思っています。
今後はGPシリーズというよりは、まず11月~12月ごろに、ロシアか欧州の小さな競技会から始めたいと思っています。あとはショーに出演して、ロングプログラムもショートプログラムも両方感触を試したいと思います。
去年の欧州選手権の後に膝の手術をした結果、だいぶ良くなっているようです。久しぶりに4回転を飛びましたが着氷の時に痛みもなくて、だいぶ良い状態になっています。ですので、だんだんと調子を上げていって、そのあと欧州選手権に出て、そのあと(3月の)世界選手権に出るか、出られるかどうかはまだ決まっていません。
最終目標は4度目のオリンピックに出ることです。さまざまなタイトルがありますが、私にとっての『Big Fighting』というのはオリンピックの場だと思っています。ですので、4度目の五輪出場をまずは目指しています。出場できた時にはそれを最後に競技を引退したいと思っています」
<スポーツナビ 2012年10月6日>