羽生結弦 2013年四大陸フィギュアスケート選手権


羽生結弦 Yuzuru HANYU

2013年四大陸フィギュアスケート選手権

2位に転落の羽生「調子が良かっただけに悔しい」=フィギュア四大陸選手権・男子FS

[スポーツナビ 2013/2/9 23:04]

フィギュアスケートの四大陸選手権第2日が9日、大阪市中央体育館で行われ、男子フリースケーティングでは、前日のショートプログラムで首位の羽生結弦(東北高)が総合246.38点で2位となった。優勝はケビン・レイノルズ(カナダ)で総合250.55点。高橋大輔(関大大学院)は総合222.77点で7位、無良崇人(中京大)は総合218.08点で8位に終わった。

以下は羽生のコメント

「ジャンプが安定していませんでした。すべての面でちょっと感覚がズレていたかなと思います。今までの自信が崩れてしまった部分はありますが、逆に次の大会に向けて修正できると思います。調子が良かったがゆえにこういう結果は悔しいです。でも、これが世界選手権じゃなくて本当に良かったと思います。ブライアン(・オーサーコーチ)とも話しているんですが、僕たちが(照準を)合わせているのは世界選手権なので、課題を修正しながら完成形を目指していきたいです。

まずはジャンプの確率を上げなければいけないと思います。あとは集中力が途中で切れてしまうので、プレッシャーがかかった状態でも最後まで集中力を保てるように練習からやっていきたいです。

4回転サルコウは苦笑いしかないです。跳んでる途中から“やっちゃった”と思いました。でも、公式練習までは本当に良かったので、この感覚を忘れないようにしたいです。

失敗したのはやはり緊張のせいでもあります。緊張によって体が硬くなっていると思いますし、そういう中でもしっかり跳べるジャンプを目指していきたいです。公式練習では決まっていたし、手応えもあったんですけど、試合はやっぱり難しいですね。あと、4回転サルコウはまだ自信もないと思います。だからこそ課題を見つけられたので、次につなげていきたいです。4回転トゥループは自信あるので、あとはサルコウを何とかします。

後半のミスに関しては自分でもあっけらかんとしています。しっかり練習しきれているからそんなに深刻に考えていないし、サルコウのミスが最後まで響いてしまったのかなと思っています」

羽生「次は完璧に」、高橋「とにかく練習」=四大陸から一夜明け

[スポーツナビ 2013/2/11 15:17]

フィギュアスケート四大陸選手権から一夜明けた11日、会場となった大阪市中央体育館で会見が開かれ、男子シングルで2位だった羽生結弦(東北高)、まさかの7位に終わった高橋大輔(関大大学院)が出席。それぞれ2日間の振り返りと、3月13日(現地時間)からカナダで開幕する世界選手権への意気込みを語った。なお、8位だった無良崇人(中京大)は体調不良のため欠席となった。

「シュンとした感じではないです。がっくりした思いはありますけど、次に向かってやっていこうと前を向いています」と明るい表情で語った羽生。今大会は、ショートプログラム(SP)で首位発進ながら、フリースケーティング(FS)でのジャンプミスが響き逆転を許す結果となった。しかし落ち込むことはなく、かえって闘志にさらに火がついたようだ。

「試合のための練習がしっかりやりきれていなかった。世界選手権に向けていい課題になった」と、すでに敗因も分析できており、ポイントとなる4回転サルコウも「理想のフォームはすでに固まっています。世界選手権ではしっかり決めたい」と力強く宣言。1カ月後の大一番に向けて「SPもFSも完璧にしたいですね。それくらいの集中力、体力をつけていきたいですし、目標は1位を取ることですが、完璧な演技で五輪代表の枠取りに貢献したいです」と、新エースの自覚十分に抱負を語った。

一方、悪夢のような結果に終わった高橋だが、「いろいろと考え過ぎた部分があったし、どこか集中しきれていなかった」と、こちらも敗因はしっかりと分析できている。特に新SP『月光』に関しては「練習していけば良くなる。こんなもんじゃないというところを見せたい」と力強くコメント。世界選手権での巻き返しへ向け「とにかく練習しかない。今度はベストを出せるように、クオリティーの高い練習を重ねていきたい」と語った。

羽生・高橋、この敗戦を世界選手権の起爆剤に 四大陸選手権・男子FS

[スポーツナビ 2013/2/10 11:45]

まさかの結果に終わった日本勢

フィギュアスケート四大陸選手権第2日が9日、大阪市中央体育館で行われ、男子フリースケーティング(FS)では、前日のショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(東北高)が同大会初優勝を目指したものの、ジャンプのミスが響き158.73点止まり。合計246・38点としたが、SP6位スタートのケビン・レイノルズ(カナダ)に逆転を許し、総合2位に終わった。

一方、SP4位からの逆転を狙った高橋大輔(関大大学院)もジャンプでミスを連発し、フリー140・15点、合計222・77点で表彰台を逃すどころか、まさかの総合7位にダウン。また、SP8位の無良崇人(中京大)も無難に演技をまとめたものの得点は伸びず、変動なしの総合8位だった。

浅田真央(中京大)らが躍動し、1位〜3位を日本人選手が独占した女子SPからおよそ3時間後。この勢いを受けて、さあ男子も! と上昇気流に乗りたいところだったが、不完全燃焼に終わった前日のSPよりもさらに内容を落とすフリーの演技となってしまった。

今年の四大陸選手権は地元・日本開催でもあり、最大のライバルと目されていた前季王者のパトリック・チャン(カナダ)が欠場。昨年12月のグランプリファイナルではそのチャンを抑え高橋と羽生が1位・2位を争った実績を考えれば、今大会も日本人によるV争いは必至、表彰台独占もあるという戦前の予想だった。しかし、ふたを開けてみれば、羽生がなんとか面目を保ったのみで、高橋に至っては「全部が全部、最悪。自分でも信じられない」という惨敗だった。どこで歯車が狂ってしまったのか?

高橋は7位 長光コーチ「いい喝が入った」

「慢心とか、気の緩みがあったと思います」と高橋。昨年11月の中国杯から2カ月間で4大会を戦い抜いたが、年末の全日本選手権後に正月を挟んだことで、緊張の糸が切れてしまったという。加えて、今回の四大陸選手権は例年よりも1週間早い開催だったこともマイナスに働いた。長光歌子コーチが明かす。

「ずっと試合が続いていて緊張していたので、どこかで緩めないといけないと思ったんですが、緩めた後の調整でちょっと時間が足りなかったかなと思います。大きな試合のための準備になっていなかった」

もともと十分な調整期間が取れなかったことに加え、今回はSPのプログラムを変更して臨んだ初の大会。長光コーチによればSPの練習は「2週間したか、しないか」という程度なのだから、二重に時間が足りていなかったわけだ。

ただ、敗因がハッキリしている分、長光コーチに落胆の色はない。「(3月の)世界選手権に向けて、いい喝が入りました」と笑顔さえ浮かべる。新SP『月光』に関しても、「練習でうまく入れた時は伸び伸びと滑れている。もう少し時間をかければ、良いものになる」と太鼓判。肝心の高橋自身も『月光』には「前回のSPよりやりやすい」と手応えを感じており、すでに「やるしかない。普段の練習でも100パーセントで行く」と、大一番へ向け気持ちを切り替えている。

羽生、逆転許すもオーサーコーチ「この結果を糧に」

一方の羽生も、結果こそ銀メダルだが、内容を考えれば到底満足できるものではない。時折冗談を交えながらも「調子が良かっただけに、この結果は悔しい」と負けん気をのぞかせた。そんな愛弟子に温かいエールを送るのはブライアン・オーサーコーチだ。

「ユヅルにとって重要なのは、今日の経験を経て強くなること。彼はとても強い人間だということが分かっているので、この結果を糧にさらに強くなってくれると思う。今日学んだこともたくさんあるし、きっと彼はさらに強くなるよ。今回の結果は決して恥ずかしいものではない」

羽生の調子が良かったことはオーサーコーチも認めており、だからこそ「今日の演技にはビックリした。彼の平均的な力を出せば簡単に勝てた試合だった」と本音も明かした。と言って、今回の出来にガッカリしているわけではない。大きな大会を勝つためには今回のような経験が必要になるのだという。

「キム・ヨナを教えていたときもそうだったが、グランプリファイナルで2位に終わったことをモチベーションに五輪に臨むことができたように、私自身の経験から知っているんだ。むしろ、今日の演技が完璧だったら、逆に心配していたと思う。ユヅルの目からは強い決意を感じているし、世界選手権まで4週間もあるからね。きっと彼は世界選手権で期待に応えてくれると思うよ」

高橋、羽生に共通するのは、今回の敗戦はこの先まで尾を引きずるネガティブなものではないということ。むしろ、3月の世界選手権(カナダ)への良い起爆剤になるだろう。この2日間大阪でもれた溜息は、きっと1カ月後のカナダでは大歓声に変わるはすだ。

「目標を合わせているのは世界選手権。課題を修正しながら完成形を目指したい」(羽生)

「今回の結果を世界選手権につなげないといけない。こんな演技をしていたら絶対ダメですから」(高橋)

何より、日本の2枚看板が逆襲へ早くも闘志を燃やしている。